体臭にまつわるエピソード(その10)
(※とある男性の手記です)
自分のニオイが気になって仕方が無い。
特に自分でクサいと感じている訳ではない。加齢臭で悩むほど実年齢も、そして気持ちも、老け込んではいない。
それでも、ナンだか自分がクサいのではないかと、常に気になってしまうのだ。
それ故、デオドラントやコロンの類いを、ふんだんに体に振りまくのが日課になってしまった。
それでも、それでも、自分がクサいのではないかと、常に気になって仕方が無かった。
ある日、とうとう痺れを切らしてという感じで、妻が私にこう言った。
「あなた別にクサくないよ。そういうコンプレックスみたいの、やめたほうがいいよ。」
一番身近にいる妻にこう言われたことで、今まで張り詰めていた気持ちが、スーっと楽になった気がした。
それ以来、デオドラントやコロンの類いは、一切やめた。
気のせいか、それらを使っていた時よりも、職場のみんなが近寄ってきてくれる感じがする。
ニオイを気にしすぎるが故に余計なことをして、それ故逆にみんなを遠ざけていたという皮肉な現実に、今ようやく気が付いたのだった。