そもそも臭いって?
電車やバスなど、公共の交通機関では、その密閉性が故、様々な臭い(ニオイ)が渦巻いていますよね。
入った(乗った)瞬間に、その臭い、モワッとくるその空気感に圧倒され、閉口してしまうこともしばしばです。電車であれば他の車両に移ることも可能でしょうが、バスやタクシーなどではいちいち乗り直す訳にもいかず、しばし耐えるしかないというのが現実です。人によって違いはあるでしょうが、早い人では数分もすれば、その臭いを感じなくなってきます。
そういう時に気になるのが、髪の毛や服に、その臭いが移ってしまうのではないか?ということです。電車やバスを降りた後でも、しばらくはその臭いを自分自身が発してしまっているのではないか、と。
確かに、臭いというものは、髪の毛や服に纏わりついてしまいますよね。
では、そもそも、臭いってどういうものなのでしょうか?
まず、嗅覚、すなわち「臭う」という状況は、大気中に浮遊している様々な物質の「分子」が、鼻の粘膜に付着し、それを刺激して起こるものです。
つまり、「臭い」というのは、大気中にあるその「分子」(ニオイ分子)に他ならないのです。
大気中にある(浮遊している)というのは、言い換えれば、目には見えないけれどもそこら中の空間に存在している、ということです。当然、その空間に飛び込めば、髪の毛や服にもその分子は付着します。
これが、「臭いが移る」という現象です。
そう考えると、例えばとてもクサいトイレなどに入るということは、そのクサい分子が、鼻の粘膜を始め髪の毛など体の至るところに付着してしまうということであって、何だかとても気になってしまいますよね。
ただ、分子の「付着」ということは、思いっきり振ったり、叩いたりすれば、ある程度は離れていくということです。要するに、たとえ臭いが移ってしまっても、そうすることである程度は臭いを飛ばすことが出来るのです。
ところで、スプレーを始め、クサい臭いを消してくれる、すなわち消臭してくれるものというのは、今の時代ありとあらゆる様々な商品が存在していますが、ではそういったものはどういう仕組みで効果を発揮するのでしょうか?
臭いの正体が「分子」ですので、それを別の化学物質で覆いかぶせる(封じ込める)というものが多いようです。また、活性炭などに代表されるような、大気中に浮遊するニオイ分子をそれ自体に吸着させて、量を減らすというものもあります。まさに吸着、すなわち吸い込むようなイメージでしょうか。
もう一つあるのが、芳香剤など、別の匂いで元の臭いを追い払うというもの。いい匂いを優先して嗅覚に届けることで、元の臭いを感じにくくさせるものです。これは元のニオイ分子をどうこうするというより、人間の嗅覚の優先順位を利用するイメージですね。ただこの方法だと、一歩間違えば、「コロンや香水でごまかす」のページでも触れたように逆効果となってしまうこともあるような気がしますが、恐らくその辺りもきちんと考えられているのでしょう。
ともあれやはり、たかが臭いとあなどることなかれ。その正体を解明し、消臭商品の開発など、我々の快適な生活に向けて日夜努力してくださっている方がいるというのは、本当にありがたいことですね。