体臭にまつわるエピソード（その19）
（※とある男性の手記です）
私が自宅で使用しているバスタオルだが、今や毎日のように洗い立てである。そのため、風呂上りにはほのかに洗剤の匂いがするふわふわと柔らかいバスタオルで体が拭けて、大変気持ちがいいのだが・・・。
我が家は典型的なサラリーマン家庭で、子供はまだいない。妻は専業主婦で、私が仕事に行っている日中に、掃除やら洗濯やら、いわゆる家事の類いを一通り済ませるという塩梅。私としては妻に対して特に不満もなく、本当によくやってくれていると思っている。仕事に精を出し、集中出来るのも、妻があってこそだ。お蔭で、それなりに幸せで、充実した毎日を送ることが出来ている。
洗濯に関して言うと、夫婦二人だけのために洗濯物もそれほど溜まらず、さらには水道代や電気代の節約のためもあるのだろう、毎日欠かさず行うということはないようだった。週に数回程度、少ない時は週に1回ということもあるようだった。それでもさして問題はなかった。
私のバスタオルに関しても、他のものと一緒に洗濯することがあったりなかったり、感覚的には、週に1回程度洗っているかいないかくらいで、あとは風呂場に干しておいて、自然乾燥したものを翌日また使用するという感じだった。こちらもそれで全く問題はなかった・・・はずだった。
それが、いつからか、毎日洗濯されるようになった。妻に直接確認した訳ではないが、匂いや感触で、間違いなく毎日きちんと洗われているのが分かる。その理由について、私はすぐにピンときた。
思いつくのは・・・臭いである。悲しいかな、私も年齢を重ね、最近は自分の体臭（加齢臭）が気になるようになってきた。風呂上りで綺麗な体とはいえ、直接体に密着させて水分を取るバスタオルとなれば、臭いが如実に移って尤もだろう。ましてや、濡れているとなれば尚更なのかもしれない。
思い切って妻に聞いてみようか・・・。何度もそう思ったが、未だに切り出せないでいる。そして、そうやって時間が過ぎていく間も、件の私のバスタオルは、やはり毎日洗濯され続けているのである。
