感情や記憶との繋がり
嗅覚を刺激する「ニオイ」（匂い・臭いの両方の意味を込めて、カタカナで記述します）というものは、他の感覚（視覚・聴覚・味覚など）に訴えるどんなものよりも、人間の気持ちや感情、あるいは記憶といったものとの繋がりが強いということをご存知でしょうか？
それは、ニオイというものが、急激・急速に引き起こされる感情や情緒を司る情動系と呼ばれている大脳辺縁系に直接届くからで、それ故、人間の本能や、感情と密接に関連した記憶などとも深い関係が認められるということが、医学的にも分かっているそうです。
だからこそ、例えば「体臭にまつわるエピソード（その7）」でご紹介したようなこと（ニオイによって、切なくなったり、懐かしい感覚を呼び起こしたり、おばあちゃんを思い出したり・・・といったこと）が起こる訳ですね。
また、大脳辺縁系というのは記憶も司っており、そして嗅覚を司る嗅覚野もまた、その大脳辺縁系との関係が強いという、つまるところ、脳の構造上、どこから見ても、ニオイと、感情や記憶との強い関連性が認められるということです。
その嗅覚野ですが、男性よりも、女性のほうが発達している傾向にあるそうです。それはつまり、男性よりも女性のほうがニオイに敏感であるということを意味します。「日本人男性の9割以上が・・・。」のページでは、男性よりも女性のほうがかなり多くの割合で体臭を意識しているということを紹介していますが、それには、生物学的観点からもきちんとした裏付けがあったのですね。
ともあれニオイは、人間が持つ感覚の中で、「最も感情を刺激するもの」とも言われているくらい、気持ちや感情、そしてそれにまつわる記憶との繋がりが非常に強く、それ故、「あの場所のニオイがどうしても好きになれない（行きたくない）」「あの人のニオイ（体臭）は生理的に受け付けられない（お付き合い出来ない）」といったことが往々にして起こる訳です。たかがニオイ、されどニオイ、本能との関係や生理的な影響までもが認められる、それはそれは重要かつ厄介なものなのかもしれません。
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